流星群を眺めたことはありますか?
ニュースなどで流星群のアナウンスをしてくれたりしますが、忙しい現代社会ではゆっくり夜空を見上げる時間もなかったりします。
そこで今回は、2024年に観察しやすい流星群をまとめてみました。
流星群を見つけやすい日程を把握して、親子で流れ星に願いをかけてみてはいかがですか?
子どもと一緒に夜空を見上げるだけでも、良い思い出になりますよ。
目次
流星群とは?
流れ星の正体を知っていますか?
宇宙の塵や小さな石などが地球の大気にぶつかって燃えて落ちることから、空の星が流れているように見えます。これが「流れ星」です。
流星群はこの流れ星が、たくさん流れる現象です。
地球は太陽系の惑星で、太陽を中心に円の軌道を描いています。そして、この太陽系に、円ではなく楕円の軌道を描く「すい星」があります。
「すい星」は長い尾を引くその姿から、日本では「ほうき星」とも呼ばれています。この「すい星」は数㎞から数十㎞ほどの核を持つ小さな天体で、そのほとんどは水でできています。この「すい星」は確認されているだけで3,000以上の数があり、太陽の周りを数年で周回しているものもあれば、数百万年以上かかるもの、太陽には二度と近づかないものもあります。
その「すい星」からはたくさんのチリが放出されています。この放出されたたくさんのチリが地球にふりそそぐとき、地球の大気にぶつかることで激しく燃え上がり光を放ちます。
「すい星」から放出されるチリが地球に届く位置や軌道は密集しているため、地球からはひとつの方角から降りそそいでいるように見えます。流星群は、地球に衝突するその位置を星座の位置と重ね合わせて呼ぶため、「○○座流星群」という名前で呼ばれています。流星群が地球にふりそそぐ位置を、流星群の「放射点」と呼びます。
「すい星」の軌道は周期的なものも多いため、決まった時期に決まった位置から見えやすいのです。そのため、「ペルセウス座流星群」や「しし座流星群」など、特定の周期で良く聞く名前の流星群があります。
また、「すい星」から放出されたチリが地球にぶつかる角度がななめすぎると、大気にぶつかるチリの数が減るため、流れ星が少なくなります。同じ流星群でも数や見え方が違うのは、このように地球にぶつかるチリの数の違い、地球から観測する位置、そして「すい星」と地球の軌道と位置に関係しています。
「すい星」の軌道とその尾の軌道、そして地球の軌道は予測できます。そのため、地球のいつどこで流星群を見ることができるのか予測できるのです。
今回は、2024年の夜空の天体ショーである流星群について調べてみました。
三大流星群
地球では毎年、安定して多くの流星が観察できる流星群が3つあり、それぞれ流星群の発生地点付近の星座の名前にちなんで、「しぶんぎ座流星群」「ペルセウス座流星群」「ふたご座流星群」と名付けられています。この3つの流星群は流星の数も多く、観察しやすい流星群です。
[しぶんぎ座流星群]
「しぶんぎ座流星群」は年の初めに見られる流星群で、流星の数にばらつきがあるため、数を予想するのが難しいとされています。平均すると、ピーク時でだいたい1時間に20から50個くらいの流星を確認できる流星群です。
名前の由来になっている「しぶんぎ座」は、18世紀のフランスの天文学者が名付けた星座で、天体観察に用いられていた四分儀(しぶんぎ)からとっています。1930年に星座が正式に決定されたときに、「しぶんぎ座」は採用されませんでした。そのため、現在ではその付近にある星は、「りゅう座」「おおぐま座」「うしかい座」となり、「しぶんぎ座」は存在しないことになっています。
ただし、「しぶんぎ座流星群」の放射点が「しぶんぎ座」にあることから、今でも流星群の名前として残っています。別名で「りゅう座流星群」と呼ばれることもあります。
[ペルセウス座流星群]
「ペルセウス座流星群」は毎年、年間でトップの流星数を誇る流星群です。毎年、お盆の時期と重なるので、観察しやすく、馴染みのある人も多いのではないでしょうか。ピーク時で1時間に40個くらいの流星を見ることができる流星群です。
「ペルセウス座」の由来となっているのは、ギリシア神話にでてくるペルセウスです。星座では片手にかかげた剣を持ち、もう片方の手にはメドゥーサの首を持っているといわれています。
ギリシア神話のペルセウスは、大神ゼウスとアルゴス国王の娘ダナエーを親にもつ、半神の英雄です。メドゥーサと戦ったり、いけにえとなっていたアンドロメダーを助けて結婚したりと、たくさんの逸話をもつペルセウスが、アテナによって星座になったとされています。
「ペルセウス座流星群」の放射点はだいたいペルセウスの掲げた片手の肩あたりにあります。明るい流星が多いのも特徴で、放射点から近いほど明るく短い流星が、離れるほど暗くて長い流星が観察できます。
[ふたご座流星群]
「ふたご座流星群」は12月に見られる一年の終わりを告げる流星群です。毎年ほぼ安定した流星数を見られる、最大の流星群です。ピーク時には1時間に50個程度の流星を確認できます。
名前の由来となっている「ふたご座」は、黄道十二星座のひとつで、ギリシア神話の双子の王子がモデルとなっています。
どちらもスパルタ王妃であるレーダーが母ですが、兄のカストールは父親がスパルタ王テュンダレオースで、弟のポリュデウケースは大神ゼウスが父です。ふたりはとても仲良しの兄弟でしたが、半神である弟は不死身でした。あるとき、兄が争いに敗れて亡くなったときに、弟のポリュデウケースが父であるゼウスに、生も死も二人でともにありたいと願い星座になったといわれてます。
星座では、向かって右が兄のカストル、左が弟のポリュデウケースです。左の弟の頭にある一番明るい星がポルックスで、右の兄の頭にある二番目に明るい星がカストルです。流星群の放射点は、二番目に明るい星であるカストルのそばにあります。
2024年の流星群
ここでは2024年に予想されている流星群をカレンダーにしてまとめてみました。流星群を観察するときにぜひ、参考にしてみてください。
流星群は決まった方向に出現するわけではないので、方角などは気にせず眺めましょう。
月は夜空では大きな光源となってしまうので、できるだけ月の細い夜の方が観察しやすいです。月がある場合は、なるべく背を向けて視界に入り込まないようにすると、星が見やすいです。
できるだけ月明かりの少ない夜に、できるだけ明かりの少ない場所で、できるだけ広い空が見えるところを選びましょう。小高い丘や山の上で、夜露や寒さ対策を十分して、親子で寝転がって見るのもおすすめです。
1月|しぶんぎ座流星群
「しぶんぎ座流星群」が、新年の空を彩ります。この流星群は、一時間に数個の流れ星が見える小さな天体観測です。ピークは18時頃と言われていますが、日本では夜になると流星を観測しやすくなります。特に、月の光が少ない暗い場所では、流星を見つけるチャンスがぐっと上がります。家族で夜空を見上げ、流れ星を見つける楽しさを共有しましょう。夜間、特に未明の時間帯に空全体を広く見渡せば、思いがけず美しい流れ星に出会えるかもしれません。
活動期間:正確な活動期間は不明
ピーク時刻:2024年1月4日 18時頃
観測条件:月齢22による下弦の月明りがあり、観測条件は決して良くはありませんが、4日の未明や5日の未明にも観測可能。
4月|4月こと座流星群
春の夜空は、家族で星を眺める素晴らしい機会が待っています。特に4月は、こと座流星群が私たちに幻想的な光景を見せてくれる時期です。この流星群は、夜空で最も明るい星の一つ、ベガの近くから放射状に流れる星々を見ることができます。ただし、この時期は満月の光が強く、流星を見つけるのが少し難しくなりますが、その分見つけた時の喜びもひとしおです。
流星群を見るコツは、空全体を広く見渡すこと。数は多くありませんが、明るく輝く流星や、時には火球と呼ばれる大きな流れ星も見られるかもしれません。夜は冷え込むことがあるので、温かい服装で家族みんなで外に出て、春の夜空の魔法を体験しましょう。子どもたちの目に映る流れ星の輝きは、きっと忘れられない思い出になるはずです。
流星群名:4月こと座流星群
活動期間:4月14日〜4月30日
ピーク時刻:4月22日の16時頃
観測条件:極大時の放射点が地平線下にあるため、ピーク時間帯の観測は難しく、月齢14の満月が一晩中昇っているため、月明かりの影響により観測条件は良くないとされています。
5月|みずがめ座η流星群
2024年5月、夜空が魅力的な舞台に変わります。子どもたちの目を輝かせるみずがめ座イータ流星群がやってきます。この流星群は、宇宙の神秘、ハレー彗星から来た高速で光る流れ星で知られています。
ピークタイムは日の出後ですが、心配はいりません。月明かりはほとんど影響せず、空はクリアで観測条件は良好です。ただし、日本では放射点が低く、流れ星は1時間に約10個と少なめ。でも、その貴重な瞬間を一緒に見つけられたら、子どもたちにとって忘れられない体験になるでしょう。
最適な場所は、空が広く開けた、街の明かりから離れた場所。東や南東の空を見上げましょう。夜はまだ冷えるので、暖かい服装を忘れずに。家族で準備をして、星空の下、素敵な思い出を作りましょう。
活動期間:4月19日〜5月28日
ピーク時刻:5月6日 午前6時頃
観測条件:ピークは日の出後に発生するため、視界に影響が出る可能性があります。それでも月明かりの影響はほとんどなく、観測条件は良好と考えられます。
みずがめ座η流星群の詳しい情報や流星観察のヒントについては、流星電波観測国際プロジェクトまたは国立天文台(NAOJ)のWebサイトをご覧ください。
6月|6月うしかい座流星群
2024年6月、空を見上げれば家族で楽しめる素敵な天体ショーが待っています。6月うしかい座流星群は、普段は静かですが、時には多数の流れ星が輝く不思議な時間を提供してくれます。特に、夜中から明け方にかけてが観測のチャンス!ただし、この年は月明かりに少し邪魔されるかもしれませんが、それでも流れ星を見つける楽しみはたっぷり。
過去には突然活発になる年もあったこの流星群、1998年や2004年には特に多くの流星が目撃されました。予測は難しいですが、その予期せぬ驚きが観測をさらにワクワクさせます。場所を選ぶ際は、街の明かりから離れた暗い場所を探し、うしかい座がよく見える方向に向けて、家族みんなで空の旅に出かけましょう。子どもたちと一緒に願い事をしながら、流れ星を探すのも素敵な思い出になりますよ。
活動期間:6月22日〜7月2日
ピーク時刻:6月27日 14時頃
観測条件:このピーク時刻は昼間にあたるため、実際の観測は夜間、特に夜半から明け方にかけてが適しています。ただし、2024年の観測条件は月齢21で、月明かりの影響があるため、観測条件はあまり良くないとされています。
7月|みずがめ座δ南流星群
特におすすめは7月末のみずがめ座δ南流星群です。この流星群は、夜空を彩るたくさんの「流れ星」で知られています。ピーク時には、1時間に10〜30個もの星が輝きます。特に2024年7月31日は観測に最適な夜。月明かりが少なく、星たちがよりはっきりと輝きます。
観測のコツは、開けた場所で空を見上げること。街の明かりから離れると、星がぐっとクリアに。土星や火星などの惑星を目印にすると、流れ星を見つけやすくなりますよ。
この夏は、子どもたちと一緒に夜空の旅に出かけましょう。流れ星を見つけたら、願い事を忘れずに。星空の下での特別な時間が、家族の素敵な思い出になるはずです。
活動期間:7月12日〜8月23日
ピーク時刻:7月31日頃
観測条件:ピーク時の放射点は赤経22時40分、赤緯-16.4度に位置し、観測条件は比較的良好。
8月|ペルセウス座流星群
今年もペルセウス座流星群がやってきます。月明かりが少ない8月の深夜から夜明け前は、この素晴らしい天文ショーを見るのに最適な時間です。家族で外に出て、1時間に50〜60個もの流れ星が輝く瞬間をぜひ見てくださいね。
都市の明かりから離れた暗い場所を見つけ、空の広がりを楽しむことが大切です。横になって、目を暗闇に慣らし、空を広く見渡すことで、流星や火球を見つけやすくなります。この自然の光景は、子どもたちにとって忘れられない体験となるでしょう。
ペルセウス座流星群を一緒に観測することは、家族の絆を深める素晴らしい機会です。星空の下で、夢や願いを語り合いましょう。流星観察は、ただ美しいだけでなく、私たちに夢と希望を与えてくれる魔法のような時間です。
活動期間:7月17日~8月24日
ピーク時刻:8月12日 23時頃
観測条件:月明かりの影響が少なく、深夜から夜明け前が観察に最適な時間帯。
9月|流星群名:ぎょしゃ座流星群
2024年9月は、夜空を彩るぎょしゃ座流星群の季節が再び訪れます。この期間、家族で一緒に夜空を見上げ、流れ星を探すのはいかがでしょうか?
ぎょしゃ座流星群は、夜明け前が観測のベストタイム。光害が少ない場所を選び、天気や月明かりにも気をつけながら、美しい天の川の下、特別な夜を過ごしましょう。
この流星群は、時に明るい流星をもたらすことで知られ、電波観測ではその魅力的なロングエコーが楽しめます。2007年のように、活発な年もあり、忘れられない思い出になるかもしれません。ぎょしゃ座流星群を通じて、子どもたちに宇宙の不思議と美しさを教える絶好のチャンスです。
活動期間:8月28日〜9月5日
ピーク日時:9月1日 6時頃
観測条件:ピーク時刻は夜明け前で、電波観測には好条件となりますが、光学観測(目視)にはあまり適していません。
10月|10月のりゅう座流星群
2024年の秋は家族で夜空を見上げる絶好のチャンスです。10月8日の夜、子どもたちと一緒にりゅう座流星群を観察しましょう。この日、月が夜8時頃には沈み、月光に邪魔されることなく、流れ星を探すのに最適な状況が整います。北西の空を見上げれば、夜10時頃から深夜1時にかけて、ゆっくりと流れる星を見つけることができます。2024年のりゅう座流星群は大規模なものではありませんが、家族で過ごす穏やかな夜に、数える楽しみを提供してくれるでしょう。星空の下で願い事をしながら、子どもたちとの特別な時間を楽しんでください。
流星群名:10月のりゅう座流星群
活動期間:10月6日~10月10日
ピーク時刻:10月8日の午後10時頃
10月|オリオン座流星群
10月は家族で星空に触れる絶好の機会です。特に、オリオン座流星群が見頃を迎えます。ピークは10月21日の午後ですが、最も美しい光景は10月22日の深夜から夜明け前。月明かりが少ない場所を選べば、時速10〜15個の流れ星が輝く様子を目にすることができます。
都市の光から離れ、暗闇に目を慣らせば、より多くの流星を捉えられるでしょう。広い空間での観察は、空全体の美しさをより深く感じさせてくれます。星空を眺めるこの特別な時を、家族で共有してみてはいかがでしょうか。星に願いを込めながら、一緒に素敵な思い出を作りましょう。
流星群名:オリオン座流星群
活動期間:10月2日~11月7日
ピーク:10月21日の午後3時頃
11月|しし座流星群
11月、空に目を向けると、宇宙の神秘が織りなす素晴らしい光景が広がっています。しし座流星群は、いつもとは異なる特別な夜を約束してくれるかもしれません。ピーク日の前日が満月なので輝く夜は流星を見つけるのが少し難しいかもしれませんが、それでも空を見上げることで、15-20個もの流れ星を見るチャンスが!?テンペルタットル彗星からの贈り物とも言えるこの流星群は、時には予想を超える美しい光景を提供してくれます。子どもたちの目を通じて宇宙の不思議を感じ取り、家族で共有する特別な時間をお楽しみください。
活動期間:11月6日〜11月30日
ピーク日時:11月17日20時頃
観測条件:満月の影響があるので流星の観測は難しいかもしれません。
11月|オリオン座流星群
11月の夜空を彩るオリオン座流星群としし座流星群。これらの流星群は、子どもたちと一緒に宇宙の不思議を感じる絶好のチャンスです。オリオン座流星群は、1時間にわずか3個の流れ星を見せるかもしれませんが、新月の暗い夜にはその希少な光が特別な魅力を放ちます。
活動期間:11月14日〜12月6日
ピーク日時:1月27日〜28日の夜が観測に適しています。
観測条件:暗い空の下での観測が期待できます。
12月|ふたご座流星群
満月に近いため条件が悪く、流星の観察は困難になると予想されます。ふたご座流星群は明るい流星で知られており、理想的な条件下では、ピーク時には 1 時間あたり最大 120 個の流星が見られます。ただし、2024年は月の明るさにより視程が大幅に低下する可能性があります。
活動期間:12月4日~12月17日
ピーク日時:12月14日10時頃
12月|こぐま座流星群
こぐま座流星群は放射点が北方向にあるため、観測地点から北を向き、広い視野で空を見渡すと良いでしょう。月明かりがあるため、できるだけ暗い場所での観測が推奨されます。こぐま座流星群は出現数が少ないため、観測には根気が必要ですが、条件が整えば1時間に5~10個程度の流星を見ることができます。ただし、この流星群は気まぐれで、突発的に大量の流星が見られる年もあるとされています。
活動期間:12月17日〜12月26日
ピーク日時:12月22日 19時頃
観測条件:暗い空の下での観測が期待できます。
ふたご座流星群のようなイベントは、特別な機器を必要とせず、家族での素晴らしい体験になります。準備は簡単、快適なレジャーシートと暖かい寝袋さえあれば、冬の夜空の下で快適に過ごしながら流れ星を探すことができます。
暗闇に目を慣らすために、街の光から離れた場所を選びましょう。星図を使えば、流星群がどこから来るのかを見つけやすくなります。親子で星空を眺めながら、宇宙の不思議に思いを馳せる時間は、忘れられない思い出になるはずです。星を見上げるシンプルな行為が、子どもたちの想像力を刺激し、家族の絆を深める素晴らしい機会になります。
まとめ
出典:photoAC
今回は、2024年に観測しやすい流星群と期間は、
みずがめ座η流星群:5月5日〜6日
ペルセウス座流星群:8月12日〜13日
オリオン座流星群:10月21〜22日 です。
観察の成功は天候次第ですが、見逃しても落胆せず、次の機会を楽しみにしましょう。夜空を眺める際は、夏の夜風が冷たく感じられることもあるので、暖かい服装を忘れずに。星空の下、家族で流れ星を見つける瞬間は、忘れられない思い出となるでしょう。